2015年1月17日土曜日

ぼくのすべて


ときどき
ぼくのなかを
悲しみがとおりすぎる
それはまるで
青い空のように澄んでいて
そこに浮かぶ白い雲のように
掴もうとしても掴めない
ぼくは
意味が欲しくて
あたりを探してみたけれど
ぼくとそこに拡がる空と大地以外
何にもなかった

しばらく俯いて
すこしだけ泣いたら
ぼくの涙が沁み込んだその地面から
小さな芽が顔をのぞかせた
それはみるみるうちに
そのうでを伸ばし
小さな花をつけた
ぼくははっとして
あたりをもう一度見回した

ひとりだと思っていた世界には
空があって
雲があって
大地があって
光があって
空気があって
ぼくがいて
そして花が咲いた

何にもないと思っていたそこには
すべてのものが存在していた
ぼくには
それに気づくだけの
意識がなかったのだ

もう一度
空を見上げる
ぼくはもう悲しまない
何故なら
もうそれは
ぼくにとって悲しみなどではなく
喜びなのだから
かけがえのない
すべてなのだから

0 件のコメント:

コメントを投稿