2015年1月9日金曜日

過ぎ去りし世界の幻影


石畳の路地でぼくは
自分を見失いそうになる

…………白い鳩は飛び立ち
    青い空へと消えていく
    ぼくはひとりきりで
    鐘の音を聴いている…………

ぼくが其処に居るという証明を
一体誰ができるというのだろう

…………噴水がその腕を伸ばし
    空を掴もうとする
    それは何かの反映か
    それとも
    ひとつの虚無的現象にしか
    過ぎないのか…………

陽は動くことを忘れてしまったかのように
しんと光の雫を落とす
その光は水に澄き通り
輝かしげに瞬きをする
ずっとこんな風に
静寂のままであればいいのに
ずっとこんな風に
世界が廻らなければいいのに

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