2015年1月3日土曜日

タッシ




  考へれば考へる程遠退いていく
  夢を翻しては世界を繋ぎ直してゐる

  金色の鳥が鋭い声で鳴いた
  其れは遠い宇宙に反響して
  青空を振るわせる
  空から零れ落ちてくるのは涙

  天氣雨

  、


既に失われてしまつた世界には
私の求める夢があつた
愚かな私は
其れを其れと認識する事が無い侭
現へと変換してゐたのだ

雲が生まれては消えて往く速さで
私は目醒める
朝の凛とした空氣が私の意識に流れ込む

額に刻まれた夢を反芻しながら
もう一度眠りに就こうと試みるが
其処にはもう何も無かつた
現に変換された際
切り捨てられた夢の廃材が
無残な迄に散在してゐるだけだ

「我思ふ、故に我無し。」

全ての想いから解放されて
私は私を思ひ出す
斯くて
また此の場処へと辿り着いた

夢を失くす其の代償に

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